成果報告

令和5年度 GIC 調査報告

  • その他
掲載日:2003/12/14
2023年度掲載

令和5年度10月末時点における参加学生数などの集計状況や、岐阜県インターンシップ推進協議会で実施した5つのアンケート調査についてご紹介します。

岐阜県内におけるインターンシップ(及び仕事体験)の状況(令和5年10月末時点)

令和5年度10月末時点 マッチング状況
参加学生数        …1,290人
受入済み事業所数 …165社
送り出し学校数   …133校

 岐阜県インターンシップ推進協議会で集計している上記の実績は、全国の学校や、協議会に受入情報を登録していただいている受入事業所(企業・団体)から「マッチング報告書」にてインターンシップの状況をご報告いただき、それを突合せながら集計することで算出しています。
(5日間以上の“インターンシップ”はもちろんのこと、“仕事体験”などと称される1day、2daysなどの実習も企業研究の機会として捉え、集計対象としています)

※岐阜県内におけるインターンシップもしくは仕事体験についての実績は、年度ごとに集計しています。もし該当する実習の送り出しや受入がございましたら、ぜひ協議会までご連絡ください。(協議会webサイトにて「マッチング報告書」をダウンロードしていただけます)

GIC事務局

 やっと新型コロナウイルスの影響もなく、学生さんが伸び伸びと実習に参加できる状況が戻ってきた、というのが令和5年度の率直な印象です。令和5年度から、「インターンシップ」という言葉は5日間以上かつ一定の条件をクリアした実習にのみ使用可能ということになりましたが、ここでは「オープン・カンパニー」等も含めての集計となっておりますので、ご注意ください。
 10月末時点でご報告いただいている数字の内訳を見てみると、対面開催が80.3%、ハイブリッド開催が18.6%、オンライン開催が1.1%となっています。また、日数では1日は10.9%、2日は32.7%、3~4日は13.1%、5日は38.0%、6日以上は5.3%と、5日間の実習に参加できた学生さんも多かったことがわかります。

5つの調査の概要

 ここからは、令和5年度に岐阜県インターンシップ推進協議会で実施した5つの調査についてご紹介します。
 (事務局でまとめた「調査報告」から抜粋して掲載します)
 各種調査にご協力をいただいた皆様に感謝申し上げます。

実施時期令和5年度に実施した調査の名称と概要
5月①〔会員学校〕令和5年度からのインターンシップの取り組みに関する緊急調査
 対 象:会員学校 30校
 回答数:19校
7月~②〔学校〕岐阜県インターンシップ学校調査
 対 象:会員学校、情報提供学校 計276件
 回答数:113件
7月~③〔学生〕夏休みインターンシップに関する学生アンケート
 対 象:調査協力に関するアンケートに回答があった36事業所 406人分(以上)
 回答数:219件
9月~④〔企業〕インターンシップと人材採用に関するアンケート
 対 象:会員企業、協力員、登録事業所 401社・団体
 回答数:204件
9月~⑤〔学生〕インターンシップと就職活動に関する調査
 対 象:調査協力に関するアンケートに回答があった22事業所 153人分(以上)
     +令和4年度の学生会員 649人分 計802人(以上)
 回答数:25件

①〔会員学校〕令和5年度からのインターンシップの取り組みに関する緊急調査

 当協議会の会員学校(30校)を対象として、令和5年度から取り組みにどのような変化があるのかをオンラインで調査しました。

インターンシップやキャリア教育に関わる授業や単位認定の状況は

 令和5年度より、インターンシップに関わる一部のルールが変更になるということで、協議会では受入事業所向けに「インターンシップ勉強会」を開催。ただ、実態は学校の皆様に直接聞いてみなければ分からない!ということで実施したところ、インターンシップやキャリア教育に関わる授業等について、令和5年度から「何らかの変更を行った」とする学校は9校、「何も変更していない」という学校は8校となりました。インターンシップの単位認定については、11校が「特に何も変更等を行っていない」と回答しました。

 また、「インターンシップやキャリア教育に関わる授業等に盛り込まれている内容」や、「インターンシップ単位認定にあたり、受入事業所が協力する必要のあるもの」については、グラフの通りとなっています。

②岐阜県インターンシップ学校調査

 当協議会の会員学校、全国の情報提供学校を対象として行っている調査です。

学校関係者がインターンシップに盛り込んでほしい内容は

 インターンシップに関連して学校が希望する内容を聞いたところ、実習内容の希望については、「先輩社員との懇談」、次いで「職場内の見学」、「指導担当者からのフィードバック」が上位に。いずれも、実習の期間を問わず盛り込めそうな内容となっています。下位の内容はグラフの通りです。
 また、先輩との懇談については、若手社員が登場するイメージが強いように思いますが、中堅層・ベテラン層を選ぶ学校もありました。確かに、世代ごとでの働き方や仕事に対する考え方などの違いを知ることも、学生さんにとっては貴重な学びになると考えられます。

インターンシップの際に企業・団体から支援してもらいたいと感じる項目は

 協議会のwebサイト「受入事業所を探す」ページでは、食費(昼食の支給等)と交通費の支給に関する項目を設けていますが、実際に、学校関係者はどのような部分で支援があると良いと考えているのでしょうか。
 様々な項目を挙げて質問したところ、トップは「交通費(Uターン等遠距離)」となりました。確かに、例えば首都圏から帰省しながらインターンシップに参加するとしても、往復の交通費は大きなものとなります。また、帰省ではなくIターンやJターンでの実習を考える場合は、宿泊先も考えなければいけません。
 なお、もともとインターンシップは「学校の中ではできない社会経験を企業・団体で体験する」という趣旨のためか、支援の希望は「特にない」という回答も多くなりました。それ以上に、学生への教育的な指導が望まれているということだと考えられます。

インターンシップ情報が掲載されるサイトに対する希望は

 当協議会では令和6年度に向けて、webサイトの大幅リニューアルを計画しています。そこで、インターンシップ情報が掲載されるサイトにどのような要望があるのかも質問しました。
 結果はグラフの通りです。事業所に電話やメールで、受入可能な日程や低学年の参加可否などを一つひとつ聞くのは、学校や学生側にとっても、受入側にとってもそれなりの手間となります。受入側であらかじめ決められる内容については、できるだけwebサイト等で情報をオープンにしておくことが、学生さんとのマッチングをスムーズに進めるコツと言えそうです。
 また、令和5年度からのインターンシップのルール変更に伴い、5日間以上で、一定の条件を満たした「インターンシップ」についてのみ、採用活動時に成果を参考にできることになりました。そのため、成果を採用活動に利用する予定かどうかについても、あらかじめ情報を開示してほしいということです。

③夏休みインターンシップに関する学生アンケート

 会員企業・協力員・登録事業所の皆さんにお願いし、実習に参加した学生にアンケート用紙か、回答フォームのURLを配付してもらって実施している調査です。

実習の日数や形態は

 今回回答を寄せてくれた学生が夏休みに参加したインターンシップについて、複数回参加したものも合わせて集計したところ、夏休み中の実習への参加回数は、昨年度よりも「1回」、「2回」という回答割合が増加しました。実習の期間については、「4~5日間」という回答が昨年度よりも大幅に増加しています。
 参加した実習の開催形態については、「対面開催」が84%、「オンライン開催」が13.8%となりました。

インターンシップに参加した学生の“就活”に対するイメージは

 夏休み時点で、就職活動に対してどのようなイメージを持っているのかも聞きました。今年度初めて設けた項目ですが、多くの学生が「就活はもう始まっている」と感じていることがよくわかる結果となりました。
 「就活って大変そうだ」というイメージがあるからこそ、インターンシップに参加し、「エントリー・出願先をじっくり厳選したい」と考えている学生が多いようです。
 また、学生さんの約8割は「就職した職場で長く働きたい」と考えているようです。そのためには、やはりインターンシップに参加していろいろな職場を知り、企業・団体を見る目を養って、最終的に納得できる就職先を見つけてほしいものです。

インターンシップと人材採用に関するアンケート

 当協議会の会員企業、協力員(県や市など)、受入登録のある事業所にご回答をいただいている調査です。

令和5年度の県内企業・団体の受入状況は

 昨年度はまだまだ新型コロナウイルスの影響もあり、「応募はあったが、受入を中止した」との回答が散見されましたが、令和5年度は「学生の受入を行った」が全体の53.4%となりました。開催日程や開催方法を見ても、複数日程かつ対面開催で受入を実施できた企業・団体が多かったことがわかります。
 なお、受入を行った事業所では「応募者全員を受け入れた」というケースの割合が高いこともわかりました。

インターンシップ中に企業・団体が学生に提供しているものは?

 「学校調査」において、「インターンシップに参加する学生さんに対して、企業等から支援してもらいたいもの」について聞きましたが、逆に企業・団体において受入時に学生さんに提供しているものや、実習内容以外に実施したことについて聞いてみました。結果はグラフの通りです。
 学校調査ではトップだった「交通費(遠距離)」について、岐阜県内で提供している企業等は一部に限られるようです。昼食やその代金、飲み物については、提供している企業等も多いという結果となりました。
 実習内容以外で実施したことについては、「社員も同席してのランチタイム」を行っている企業等が多いという結果となりました。

実際に盛り込まれているカリキュラムの内容は?

 こちらも「学校調査」と同じ項目で、令和5年度のインターンシップに盛り込まれているカリキュラムの内容について聞いたグラフです。
 まずは企業について座学で知ってもらい、職場を見学し、先輩社員と懇談をしてもらう。日数に余裕がある場合は実作業体験をしてもらう…といったインターンシップへのイメージは、あながち間違いでもなさそうです。
 ただ、学校調査では上位に入っていながら、企業調査では少し順位が下がってしまっているのが「指導担当者からのフィードバック」です。フィードバックがあることで、学生さんの学びもより深いものとなることと思います。今後受入を実施される企業・団体の皆様には、ぜひ意識的にフィードバックの時間を盛り込んでいただきたいところです。

⑤インターンシップと就職活動に関する調査

 会員企業・協力員・登録事業所の皆さんにお願いし、10月の内定式等の機会に、内定学生にアンケート用紙か、回答フォームのURLを配付してもらって実施している調査です。令和4年度に当協議会の学生会員としてご登録いただいていた学生さんにもメール等にて回答をお願いしました。
 (昨年度・今年度は回答数が少ないため、単純な比較はしづらい状況となっています)

「就活」が始まる時期はいつ?

 「企業研究・自己分析などを含め就職活動またはその準備を始めた時期」を聞いたところ、半数以上の19人が前年(=卒業年次の前年、4年制の場合は3年生)、そのうち14人が夏休みまでに開始していたと回答しました。
 また「初めて内定をもらった時期」は、ここ数年コロナ禍もありピークが毎年変動してきましたが、令和5年度は4~6月にかけてがピークということになりました。
 少なくとも、学生さんはかなり早い時期から就職活動を意識しながら活動していると言えそうです。さらに、就活の開始から終了までの期間は、短いケースでは4ヵ月程度ということでしたが、長いケースでは1年半ほどかかっているということでした。

学生が就職活動期間に感じたことは?

 令和5年度の調査では、就職活動中に感じたことについてより詳しく聞きました。グラフの①は、これまでも聞いてきた内容で、前年度と比較しても大きな変化はありませんでした。
 ②では、就活生の相談先を聞きました。やはり、「学校のキャリアセンター等」を頼るという学生さんが多かったようです。「同じ業界を希望する知人」については、ぜひインターンシップを通じて人脈をひろげてほしいところです。
 また、③では就職活動を通してスキルアップできた部分をどう捉えているかを聞きました。学生さんそれぞれが、自分の成長に気が付いているようです。
 なお、回答者のうちでインターンシップへの参加経験があるのは、75%となりました。昨年度調査よりも7㌽上昇しています。

令和5年度 調査のまとめ

インターンシップ=就職活動の始まり?!→就活の早期化・長期化が顕著に

 調査から見えてきたのは、インターンシップのルール変更に伴って、インターンシップが就職活動の前哨戦になってしまったということです。
 就活に対する危機感を早くから持って、インターンシップや仕事体験など早期に動く学生と、そうでない学生との差はかなり大きくなることが考えられます。
 一方で、5日間などのインターンシップに参加した学生は、受入先のことをよく知ることができ、満足度も高い印象です。そのため、「インターンシップ=面倒な活動」ではなく、あくまで「自身の将来に役立つ制度である」ことを、協議会としても今後もPRしていきたいと考えています。そのためにも、令和4年11月に開設した「みんなのインターンシップ体験記」ページなどを活用し、インターンシップのメリットを感じられる情報を発信していきます。

受入事業所側の認識・意識アップ→学生がのびのびと挑戦できる環境づくりを

 令和5年度より、「インターンシップ」、「オープン・カンパニー」などの呼称が定まりましたが、受入を行う企業・団体側ではまだ一般的にはなっていないようです。参加を計画する学生が混乱しないよう、岐阜県内における受入側の認識をアップさせるべく、協議会としても折にふれて注意喚起を行っていきます。
 また、受入側と送り出し側の認識がある程度揃うことも大切です。協議会として、情報共有の機会づくりにも力を入れていきます。(具体的には、「みんなのインターンシップ体験記」の掲載や企業等向けの「インターンシップ勉強会」、近隣の学校と会員企業・協力員が一堂に会する「推進会議」など)


「令和5年度 調査報告」全体版を希望される方は、下記事務局までご連絡ください。

岐阜県インターンシップ推進協議会
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