大学で専攻する「環境経済学」に関わるインターンシップを探してたどり付いたのは、生分解性プラスチックの生産にも力を入れる地元のプラスチックメーカーでした。社員さんのプライベートの様子も聞くことで、漠然とした社会人のイメージが、安心感のあるものへと変化したそうです。
事業内容:プラスチック製の産業資材、工業部品、医療用部品の製造販売および日用雑貨品、水道管継手の製造
本社所在地:岐阜市神田町9丁目27番地(大岐阜ビル)
※このマーケティングコースでは、食品用プラスチック製品を開発・生産している岐阜プラスチック工業株式会社のグループ会社、リスパック株式会社での実習が中心となっています。
実習に参加した学生さん
人文社会学部 社会科学コース 3年
環境経済学を専攻中、「岐阜」×「環境」で検索したら
1年から3年の前期までと比べると、取らなければいけない授業も少し減ってきて、今日は1コマもない“全休”です。少し楽になってきました。
そうですね。楽しかったです。
僕は高知大学で「環境経済学」というものを学んでいるのですが、その分野につながる企業はあるかな?ということと、地元で就職したいなという気持ちがあって、大手ナビサイトで探していてマッチというか、ヒットしました。
「岐阜」とか「環境」といった言葉を入れたらヒットした、という感じです。その時に社名も初めて知りました。
大学で所属している人文社会科学部には3つのコースがあって、歴史や心理学などを学ぶ人文科学コースと、海外関連、国際コミュニケーション関連を学ぶ国際社会コース、それから法律、経営、経済など多面的に見て研究する社会科学コースと分かれていて、僕は社会科学コースに所属しています。
参加前に準備したことはありますか?
準備したことはあまりないですが、そもそも環境経済学の授業で学んだことが、たまたまグループワークで使えたなということはありましたね。
会社の場所については、事前ではなく、当日少し早く出かけて、先に確認しておきました。
実習に行こうかなと思い始めたのはいつぐらいからでしたか?
6月くらいからですね。
あるにはあるのですが、自分ではそこに参加しようとは思わなかったので、友達から情報を聞きながら自分なりに進めてきました。
7月ぐらいからですね。周りもその頃から動き出した感じです。
あまりなかったように思います。
行く前は「環境のことを考えている企業なんだな」という漠然としたものがあって、参加してみたら、さらに詳しい情報が得られたなというイメージです。
模擬マーケティング(3日間)+展示会(2日間)のプログラム
では、実習の内容を詳しく教えてください。
対面5日間インターンシップ<マーケティングコース> 実習日程:2023年8月30日(水)~9月1日(金)、9月27日(水)~28日(木)/5日間 10:00~17:00(1日目のみ13:00~17:00) | ||
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1日目 | 本社 | オリエンテーション/グループワーク(2日目の買い出し先検討) |
2日目 | 犬山工場 | リスパック 会社説明会/若手社員座談会/工場見学/グループワーク(ディベート)/買い出し |
3日目 | 本社 | グループワーク(容器の特徴)/模擬マーケティング体験 |
4日目 | 本社 名古屋国際会議場 | グループワーク(最終課題)/(移動)リスパックNEXT見学 |
5日目 | 本社 | グループワーク(最終課題)/最終発表、フィードバック |
この実習で学生さんたちが訪れたのは、「リスパックNEXT 2023 AUTUMN」の名古屋会場(名古屋国際会議場)。リスのプラスチックグループが創業70周年を迎えることから、食品容器メーカー「リスパック㈱」と物流資材メーカー「岐阜プラスチック工業㈱」との初めての合同展示会として開催されました。2023年のテーマは「『箱』の力でミライを変える ~課題解決と環境貢献の宝箱~」で、大阪を皮切りに、名古屋、広島、東京、仙台、福岡、札幌の各地で開催されました。
webサイトでは若手社員さんが会場内を案内するインスタライブのアーカイブも見ることができます。
→リスパックNEXT 2023 AUTUMN
「プラスチック製品と一口に言っても、こういうものもあるんだ!」とびっくりしました。一番驚いたのは、水泳のパラリンピックで使われたコースロープを作られているということですね。こんなものも作っているなんてすごい企業なんだな、ということを感じました。大手生活用品ブランドのプラスチック製品の製造を担っているということも聞いて、魅力的に感じました。事前にホームページで調べてはいましたが、実際にインターンシップに参加するまではそういうことは全く知りませんでした。
4日目、5日目ですね。
「リスパックNEXT」の中でたくさんの新商品を見て、こんなものがあるんだな、と学べました。とても人が多くて、体育館みたいな広い空間にいろいろな新商品が並んでいました。
5日目にはグループに分かれて、Instagramでアピールしてみようというワークもしました。インスタの写真やキャプションをチームで作ってプレゼンするというものだったのですが、それをやっている時に、他大学の学生でデザインをするのが好きだという方と一緒に取り組むことになりました。いろいろなメンバーが一緒に働く雰囲気というのか、他の学生の動きもみられて、いろいろ刺激が得られましたね。
チームの中で意見がバラバラになるなど、大変なことはありましたか?
その時は1チーム4人で取り組みましたが、意外と、一人が発言すると「あぁそうだね」という感じですらすらと決まっていったので、意見が対立するということは全然ありませんでした。
結構うまくできたと思います。
インターンシップ時の交通費は結構大問題
ほぼ毎日グループワークがありましたね。メンバーは毎回バラバラでした。
今回は実習が前半と後半、3日と2日に分かれていて、間が1ヵ月近く空いていたのですが、その点はどうでしたか?
良かったことは、5日連続ではないので、疲れ切ってしまうことはないかな、ということですね。3日間がまず終わって、ちょっと気持ちが落ち着いてからまた2日間頑張ろう、という流れでできたのが良かったのです。
ただ、僕は県外在住なので、実習の度に岐阜に帰省してまた高知に戻って、と繰り返すことになりお金もかかってしまって、そこはデメリットでしたね。個人的には、疲れても良いので5日間連続だと助かったなとは思いました。新幹線と特急を使って移動すると、時間にして片道4時間半くらい、交通費は往復で3万円くらいかかってしまうので…。
そうですね。あるとありがたいなと思います。
「やっぱり先輩社員さんたちも人間なんだな」ということを感じました。
正直な気持ちが聞けるタイミングもあって、「社員だからといっても完璧じゃなくて良いんだな」ということが分かって、ホッとしました。
普段は接客というのか、公的機関が運営している支援塾や、県の図書館のアルバイトをしています。
企業の人に対して、厳しいとか怖いというイメージはなかったのですが、緊張はしましたね。知らない人と会うということもありますし。
インターン学生でグループ分けをして、そのグループ同士で討論をする時間がありました。
お題はコンビニのコーヒーなどのチルド容器について、プラスチックのフタはあったほうが良いか、ないほうがいいのか、ということでした。正直なところ、自分に普段なじみがないことで討論をしたので…最初は「これってどういうことだ?」という感じでした。
チームで働く良さとは?
今回はグループワークが多かったので、グループで取り組むということに関して学べたことが多かったなと思います。
やっぱり一人で作業していると、社員さんが言われていたことを忘れてしまっていたりして、自分で解決するのは難しいなと感じることもあったのですが、自分が聞き逃した部分を仲間が聞いていて教えてくれたりもして、補い合うことができました。そういう体験を通じて、仲間との協力、連携って大事なんだな、ということを強く感じました。
そうですね。聞き逃したことや誤解があったりすると、違うものができ上がってしまったりすると思うので、目的に合ったものを創り上げるためには、仲間との連携が必要なんだなと思いました。
学校ではグループワークで課題に取り組むような時間はあるのですか?
ないですね。今はゼミの課題に取り組んだりしていますが、教科書に即して個人でレジュメを作って、それを授業で発表して終わり…というような感じなので、先生と学生との関係だけで終わっているような状況です。グループで協力する機会が全くなく、他の人の意見を活かすような経験はあまりないですね。
初対面同士の仲間とは、すぐに打ち解けられましたか?
割とすぐに打ち解けられました。1日目の終わりにはみんなで仲良く話しながら帰れた感じです。
企業として力を入れていらっしゃる商品として「生分解性プラスチック」があります。
今までのプラスチックは石油から作られていて、ポイ捨てされた場合も生物が分解できないもので、ただ環境を汚しちゃうだけなのですが、この生分解性プラスチックは、植物から作られているプラスチックで、もちろんポイ捨てして良い訳ではないのですが、もしそうなったとしても、微生物が分解してくれます。
そんなプラスチックを作っているのはすごいことだと思いますし、来年には、生分解性プラスチックのための工場を兵庫県に設置するという話題もあって、すごく力を入れているんだなということがよくわかりました。
買い出しは、近くのコンビニやスーパーとかで、特徴的なプラスチック容器を見つけようということで、3人のグループに1人の社員さんがついてくださって、一緒に車で回りました。
3日目に、それぞれのチームが見つけてきた特徴的な容器を見ながら、どんなところが良いのかをパワーポイントでまとめてプレゼン発表しました。
僕は今まで買い物をしていて、プラスチック容器を見ても、正直“面白い”といったことは全く思わなかったのですが、買い出しで深く見てみたら、「あぁ確かにこれだと液漏れしないし便利だな」といった気付きがありました。物事を深く見つめるということで新しい刺激を受けましたね。
内容を考える際は、社員さんたちと一緒に考えたのですか?
社員さんは近くにいらっしゃいましたが、学生だけで考えました。
準備しておけば良かったというのは正直なところ特にないのですが、これから、このようなインターンシップ、仕事体験に参加することなら、社会人としての言葉遣いやマナーをある程度知っておいたほうが良いのかな、ということは思いました。
やっぱり最初のうちは、どういう言葉遣いをしたら良いんだろう、という緊張がありましたね。なので、ある程度無難な言葉遣いを知っておくと良いのかなと思いました。
できれば就職先で専攻の勉強が活かせたら
僕の中でのインターンシップの目的としては、会社の中のいろんなことを知ることでした。今回は会社についても具体的なことがちゃんと知れたので、達成できたかなと思います。
環境経済学を学んでいく上で、役に立つことがありそうだなと感じています。
実は卒論のテーマを考える中で、生分解性プラスチックについて書きたいという気持ちがあったのですが、まだ新しいプラスチックで文献も少なく、卒論で取り扱うには難しいかもしれないと教授からアドバイスをもらったところです。なので、直接的に活かせるかどうかはちょっと分からないですね。できればインターンシップの学びを活かせると良いなと考えていたので、ちょっとショックだったのですが。
就職一本で頑張ろうかなと思っています。大学で学んでいることが活かせそうな職場に就職できるなら、自分にとっても気持ちが少しは楽なのかなと思っています。
今後に向けた課題としては、就職活動で今回のインターンシップの経験をしっかり思い返したりしながら、志望理由を作っていけたら良いなと考えています。
周りの友達が結構インターンに参加し始めたのを見て、僕もやらなきゃ、と慌てて探したところがあります。周りが動かないと自分も動けない人間なので…。
卒論の事も考えると少し気が重いですが、今後については、4年生の前期というのか、3~4月頃に内々定をもらえていたら理想的だなと思ったりしています。
部活で陸上をやっているのですが、その中で先輩に聞いたりしています。
部活については、就職した会社にもあったら嬉しいですが、なければないで、社会人チームなんかに入ればいいかなと思っています。
社会人のプライベートや働き方への気付きも
座談会の時に、「プライベートの時は仕事仲間とライブに行ったりします」という話も聞いたので、プライベートは大事にできるんだな、そういう時間もあるんだなということが分かって、安心しましたね。
休日とかも仕事で埋めつくされちゃったりするんじゃないかとか思ったりしていましたが、実際はそんなこともなく、プライベートが充実しているというのを聞いて、良い会社なんだなと感じました。
最近はオンラインのインターンシップやオープン・カンパニーもあったりして、参加する機会は増えていると思うのですが、やはり対面のインターンシップに、積極的に参加してほしいなと思います。実際に会社に行くことで知らなかったこともたくさん知れるし、仲間や友達ができるので、今後に向けて交友関係を作っていく意味でも、参加すると良いと思います。
そうですね。会社に行って雰囲気なんかを味わうのは大事だなと思いました。
それに、1dayの体験だとあまり分からないように感じますが、5日間だとその5倍なので、その分たくさん知られて、だいぶ刺激になったと感じています。
参加したことで、就活に対する不安などは取り除けました?
インターンシップを通じて、みんないろいろ個性があるんだなということを感じて、みんなが一定なわけではないというのか、人に合わせるんじゃなくて、自分にできることをすれば良いんだな、という気付きがありました。そういう意味では、就活に対する不安は解消できましたね。
岐阜での就活となると、やはり交通費は大変になると思いますが、ぜひ頑張ってください。
貴重なお話をありがとうございました!
岐阜プラスチック工業株式会社 総務部 紅谷さんからのコメント
この度は5日間の対面インターンシップにご参加いただきまして、ありがとうございます!
コロナ禍の落ち着き具合を見ながら、今年は3年ぶりの対面開催となりました。
今回の<マーケティングコース>では、営業系職種に興味がある方を対象に5日間を通して、模擬マーケティングやディベート大会、リスパックNEXTの見学(プライベート展示会)、など行っていただきました。
初日のオリエンテーション以降は、多くのグループワークを企画したこともあり、毎回違うメンバーと意見交換ができたことは、皆さんにとってとても刺激的な時間になったのかと思っています。また、食品包装容器についてここまで意識を向けることはないくらい、容器に密着した濃い5日間を過ごしていただきました。その中で容器についてもですが、バイオマスプラスチックやリサイクル技術などプラスチックの持つ可能性についてY.S.さんが興味を持っていただけましたらとても嬉しく思います。
この5日間で、弊社のこと以外にも様々なことを感じて吸収したことを、就職活動に限らず今後に生かしていただければ嬉しいです。
最後になりますが、いよいよ本格化する就職活動で抱くであろう不安や苦労を乗り越えて、社会人としてのスタートを切れるように私たちも応援しています!