成果報告

「販売職」といっても業態によって雰囲気が全然違う!―関市のアウトレット家具専門店での体験

  • 学生の体験談
  • 受入事業所事例紹介
掲載日:2024/03/15
2023年度掲載

“一歩足を踏み入れると、そこは家具のワンダーランド…!” とも言うべき専門店での体験。普段アルバイトで黙々と作業をするイメージだった「販売職」のイメージが大きく変わる体験となりました。 学生さんを受け入れた人事担当者にもお話を聞きました。

事業内容:新品で高品質の家具を理由(わけ)があるため激安で販売するお店です
本社所在地:関市山王通2丁目10-1
今回の実習場所:【関店】関市西福野町1-10-11

※後半では、担当者の営業本部 次長 加藤さんにもお話を伺っています。

実習に参加した学生さん

名古屋経済大学

経営学部 経営学科 2年
Kくん
スーパーバリュー関店の外観
(写真提供:㈱久米商店 以下同)

関市にあるロードサイドの「何となく気になるお店」、スーパーバリュー

実習に参加したきっかけを教えてください。

大学の必修科目としてインターンシップがあって、周りの友達は2年生の夏休みに実習に行ったりしていたので、自分もそろそろ探さないといけないと思い、webで探しました。関市の情報が乗っているサイトを見つけて、そこでスーパーバリューを見つけました。確か「みんサポ」(関市みんなの就職サポートセンター)のページだと思います。

インターンシップが必修科目なのも大変といえば大変ですね。

大学を選ぶにあたって、就職に力を入れている大学だということを知って選んだこともあって、必修だというのも納得しているというのか、行けばいい就職先が見つかるのかな?という期待はありましたね。

選んだ時に注目したポイントはありますか?

家から近いことと、大通り沿いなのでお店の存在は知っていて、どんなお店だろうと思っていました。
正直なところ、実習の出勤時間が8時台のところも多くて、絶対に遅刻しないようにと考えると、少し遅めの時間帯の実習のほうが安心だなと思っていました。その点、接客業で始業が遅めだったので、それも選ぶ理由になりました。結果的には選んで良かったです。

実習が終わって1ヵ月ほど経ちますが、いかがでしたか?

まず、楽しかったです。指導してくださった社員の方が20代半ばで、とてもしゃべりやすい方で、実習期間中も良くしてもらえました。 お店の存在は知っていても、中には入ったことがなかったので、実習初日に初めて入って、思った以上に家具ばっかりだ!とびっくりしました。

バックヤードには陳列を待つ商品がたくさん…!
私も伺ってびっくりしました。家具のワンダーランドだな、と。
例えばソファを選ぶにしても数が多いので、自分だけの宝物探しだなとも感じました。
企業に出向くのは初めてだったんですか?

学校のゼミで企業訪問に行ったことはありますが、個人で行くのは初めてですね。

申込や日程調整はどのように進めたのですか?

9月頃に、みんサポのページで見つけた担当者・加藤さんのアドレスにメールを送りました。
学校の授業は2年生の前期までにだいぶ単位を取っていて、後期は金曜日を1日空けることができたので、11月17日から毎週金曜日に5日間で受け入れていただけることになりました。
その調整もほとんどメールでやり取りしました。 電話だと授業中は出られないのですが、メールは授業の合間などに返信するようにしていました。

実習日程:2024年11月17日(金)~12月15日(金)/5日間  10:00~17:00
実習内容:
・オリエンテーション
・アウトレット家具の組立、設置
・商品のキズ等の確認→値段決定→ポップの貼り付け
・先輩社員との交流

「働く」=黙々と動く、というイメージが大きく変化

実習に参加してみて、参加前とイメージの変化はありましたか?

仕事中、結構会話をしながら実習ができて、楽しかったのが一番大きいですね。実習前は、働くというと「ずっと黙って働く」イメージが強かったです。

それはアルバイトでの仕事内容などが影響していたりしますか?

アルバイトは食料品などを扱うスーパーで、ドリンクやお酒の品出しをしています。そこでは夕方から夜にかけて3時間、あらかじめ決められた仕事を黙々とこなすような感じです。自分と同じような学生のアルバイトや、年齢層の違うパートの人もいるのですが、休憩で一緒になれば少し話すくらいです。休憩と言っても給水するくらいですが。

組立作業は細かい部分まで丁寧に
業態も違い、時間もいつものアルバイトよりもずいぶん長いとなると、初日は疲れたんじゃないですか?

そうですね。時間は休憩も入れて7時間、基本的に立っての作業が多いですし、家具を運んだりする作業もあるので、初日はものすごく疲れました。
5日間連続の実習に参加した友人からはキツかったという話もよく聞いていたので、今回1週間ごとに1日だったので、疲れをリセットしてまた来られて、こういうスケジュールも結構良いなと感じました。

自分にとって、5日間の中で一番学べたなと感じているのはどんなことですか?

それは、やっぱり協力することですね。
例えば、テーブルとか重いものを運ぶ場合には、先輩の方が声掛けをしながら一緒に運んだりしました。ちょっとその雰囲気は、学校の委員会活動とかの延長のような空気感というのか、和気あいあいとした雰囲気の中で作業をするのが協力には大事なのかなと感じました。
販売職と言っても、業態でここまで働き方が違うことが分かって、もっとインターンシップに行っておく必要があるんだなということも感じました。1社だけでは分からないなと。

今は2年生ということですが、大学の学びが活かせたなと感じる部分はありますか?

コミュニケーションの取り方かなと思います。
分からないことについては、積極的に聞きに行くことができました。

学校の単位に関しては5日間の実習に参加するだけでクリアなんですか?

あとは2月に報告会に参加すればOKです。報告する内容を紙に書いておいて、その会で読み上げて報告するという程度だと思います。

報告会の形式も学校によって様々ですよね。
今回は関市内で探されたということですが、就職活動に向けて何か気付くことはありましたか?

今回10時からの実習に参加してみて、8時台の始業というのが、改めて早いんだなということを感じました。「仕事」としてですし、就職して慣れたら何とかなるかなとも思いますが、慣れてリズムをつかむまではしんどいのかなと思いました。

ちなみに、実習に参加するまで、将来こんな仕事がしたいという希望などはありましたか?

公務員や銀行などを目指すのかなと思ったりしていました。 今回実習先を選ぶ時には、内容の例として「組立」という言葉が入っていて、ちょっとやってみたいなと思ったのが実習先を選ぶ理由の一つになりました。

「もう少し踏み込んで質問していたら良かったかな」

実習中に、もう少しやっておけば良かったと感じることなどはありますか?

強いて言うなら、社員の方が普段どういう話をしているのかとか、社会人の交友関係というのか…もう少し踏み込んで聞いてみたかったなと思ったりします。あとは、昼休みをどう過ごしているかとか。

それを踏まえて、今後への課題などはありますか?

もし次にインターンシップに参加する機会があれば、もっといろんな人と話せるように努力したいなと思いました。

お客様の前に出す前に綺麗にします
今後参加するとしたら、実習先の希望や、日数のイメージなどはありますか?

アルバイトでドリンクを扱うことが多いので、ドリンクに関連する販売職や営業職にも少し興味を持っています。
日数については、単位が関係なかったら、3日くらいが良いようにも思います。1dayだと詳しいことがあまり分からなんじゃないかと思ってしまいます。

協議会で行った過去の「学校調査」によると、例えば3日間×2回で合算して単位を修得できる学校もあるようです。自分の学校ではインターンシップがどのように単位化されているのか、単位が認定される条件などをあらかじめ調べておくと良さそうですね。
今回参加して、就職活動よりも前にインターンシップには行った方が良いと感じましたか?

行った方が良いのは間違いないと思います。

見えないところもしっかり綺麗に
今後、インターンシップに参加される学生さんへのメッセージをお願いします。

自分の場合は週1日というスケジュールでしたが、普通は5日間連続という実習が多いと思うので、そうすると、通勤にかかる時間が短い方が身体は絶対に楽だと思います。できれば、近いところで探すほうが良いように思います。

ちなみに、今回限られた情報をもとに実習先を決められたと思うのですが、どういうことが書いてあると選びやすいといった項目はありましたか?

個人的には、職場にいらっしゃる方の年齢層とか男女比が分かると安心かなと思いました。
今回指導してくさったのは20代の方が中心だったので、打ち解けやすかったのかなとも思うので、平均年齢や指導して下さる方の年代もあらかじめ分かると良いかなと思いました。

指導してくださる方の年齢が近いというだけでも、少し気持ちが楽になるかもしれませんね。
卒業まではまだ2年間ありますが、やっておきたいことなどありますか?

仕事については、もう少し企業について積極的に調べていきたいですね。 あと2年とは言っても、結構すぐに時間がたってしまいそうな気がするので、学生らしく適度に遊びながら、もっと企業のことも知っていきたいです。

本日は貴重なお話をありがとうございました!

担当者:営業本部 次長 加藤さんにもお話を伺いました!

加藤さんが人材を育てる中で、「この社員、一人前になったな」と感じるまでには、どれくらいの年数がかかるものですか?

10年ですね。
事務処理的な仕事、会社のルールや仕組み、伝票の書き方を一通り覚えるには1年もいれば覚えられると思います。ただ、その“与えられた仕事”を覚えるだけでスペシャリストになれたと思うとそこで成長が止まってしまいますし、やっと一人分の給料を稼げるにすぎないんです。そこからが実は長いんです。

例えば、スマホやテレビを買う時にはいくつかメジャーなブランドや商品があって、それをお客様が「〇〇社の◇◇を買おう」と考えてお店にやってきます。ですが、家具業界はナショナルブランドと言えるものがなく、大体が“ノーブランド”で、作り手がエンドユーザーに対して、商品の予備知識を植え付けられる状況ではないんです。「ソファが欲しい」と考えて来店されるお客様に対して、商品の価値を知っていただき、さらに当店で購入を決めていただくには、接客の中で伝えていくしかないわけです。

つまり、「このソファは3万円です」という時に、その根拠をお客様に提示しないといけないんです。「3万円です安いでしょ」というだけじゃ、お客様は買わないわけです。
ソファの張地だったり、マットレスのバネだったり、木が使われているものなら、その材質だったり塗装だったり。家具を作る際のいろいろな工程も理解した上で、家具にこだわりのあるお客様に対して流暢に説明できるようになるという「真のプロフェッショナル」を目指すと、どうしても10年くらいはかかってしまいます。 ちなみに、社長は20年だと言いますね。

店内や社員さんの様子が分かる動画はこちら
10年!そして20年という回答まで…とても長いですね。

私自身、20代の頃はコミュニケーションをうまく取れなかった時期があって、販売職に対するモヤモヤした気持ちもありましたが、30代に入って、自分でも“全年代対応型”になってきたなと感じることもあって。若かったから良かった部分もあれば、年を重ねることで良くなってきた部分もありますね。

大学時代だと、同世代の学生さんと教授陣と、家に帰ってからも家族やお友達がいて、あまり新しい人と出会う機会が少ないかもしれませんが、私たちは土日だと、1日に30人、40人のお客様と、人生での「はじめまして」をしているわけです。相手の方の年代に関わらず、初対面の方と瞬時にコミュニケーションをとって、「あの店員、良い人だからあの人から買いたい」と思ってもらわないといけない。小売業って、突き詰めていくと研ぎ澄まされていくものがあるなと感じています。

そもそも、ご自身はなぜ販売職に?

実は、毎日同じことをしたくなかったんです。
実際、毎日同じことはやっていられないんですよね。「次の日も同じお客様に同じものを販売する」なんてことはありませんから。だから面白いなと思います。

たまたまご縁があって家具業界に就職することになりましたが、お客様に満足していただけるようにアテンドするという部分は、すごくやり甲斐を感じられるところだと思います。もちろん性格的にも好き嫌いは分かれるかなと思いますが。

もともと販売職はお客さまを立てる立場が多いですが、今は「店員さんはお客様の言いなり」みたいな感覚は変わってきたなと思います。「髪色自由」など、店員さんの身だしなみ規定が改定される事業所があったりもして、以前の日本にあった「店員さんとしてのあるべき姿」が変わってきているのも感じています。

学生さんへのメッセージもぜひお願いします。

インターンシップに参加された学生さんは、これから就活に向けて、自分の適性診断をしたり、業界を見定めていくことになると思うのですが、業界の背景とか、業績が伸びているのかどうか、そして、そこに入って自分は何ができるのかというところを深掘りして考えてほしいですね。

最近、「就職活動で何社にエントリーしましたか」という質問への学生さんの回答を見ると、年々、企業数が減っていってるんですよね。コロナ禍で就職活動の仕方が変わってしまったことはあると思いますが、どうせなら、10社知ってそこから選ぶよりも、100社知って、そこから選んだほうがもっと良いと思います。

それから、学生時代しかできないことってたくさんあると思います。だから、今しかできないことは今のうちにぜひ。例えば、長期休暇を使ってみんなで旅行に行くとか…社会人になってしまうと、“友達みんなと日にちを合わせる”というのがそもそも難しくなってしまいますから。

この度は、貴重なお話をありがとうございました!