成果報告

ハイレベルな接客スキルとは? 若手も活躍するセレモニー業界をのぞいてみた

  • 学生の体験談
掲載日:2023/03/27
2022年度掲載

「アルバイトでいろいろな接客業を体験したけれど、トップレベルの接客ってどんな感じだろう」
3年生の夏休み、素朴な疑問を胸に選んだ実習先は「冠婚葬祭」という業界でした。
就職活動も始まった3月、半年前を振り返ってもらいました。

事業内容:総合結婚式場、レストラン、葬儀ホール経営
本社所在地:岐阜本部 / 岐阜市六条南2丁目6-21
     (本社 / 福井県福井市二の宮4丁目6-16)

実習に参加した学生さん

中部学院大学 スポーツ健康科学部 スポーツ健康科学科 3年
N.S.さん

「もっとレベルの高い接客の現場を見てみたい」

実習先を選んだ経緯を教えてください。

 大学に入ってから、アルバイトでスポーツ系教室のコーチや、飲食店のホールスタッフなどを経験してきました。その中でサービス業に興味を持ち、これから社会人になるにあたって、もっとレベルの高い接客の現場を体験してみたいという思いがありました。その現場とは何かと考えた時に浮かんだのが、冠婚葬祭の業界です。
 授業で岐阜県インターンシップ推進協議会のwebサイトを紹介してもらったので、いろいろ検索する中で実習先を決めました。

実習の詳しいスケジュールを教えてください。

 「平日でも実際にセレモニーが行われている現場が見られるように」との配慮から、ご葬儀の部門を中心に、様々な会場を見学させていただきました。

実習日程:2022年8月22日(月)~26日(金)/5日間 各日とも9:00~16:00
1日目<午前>面談、企業説明、互助会の説明
<午後>初七日法要の見学、霊柩車や倉庫の見学
2日目<午前>ホール見学(「大垣北草庵」、「サンタガリシア大聖堂」、「アスピカホール瑞穂」)
<午後>流通事業部の見学、「アスピカホール岐阜駅前」の見学、控室の清掃、お食事の準備補佐
3日目<午前>「岩田草庵」での見学、ホールの清掃、式の施行に使うものの見学
<午後>業務の説明等
4日目<午前>「アスピカホール大垣」にて、式の施行の見学、施行後の片付け
<午後>「岩田草庵」でのイベント準備、ホールの清掃
5日目<午前>「アスピカホール岐阜駅前」での式の施行の見学、ホールの清掃
<午後>「水の都 結」の見学、「ブランピュール大垣店」(貸衣装店)見学

 2日目に見学した「流通事業部」では、生花やお食事の手配だけでなく、遺影になるお写真の背景を綺麗にしたり、式場で流すメモリアル映像の編集をしたりと様々な業務が社内で行われているのが印象的でした。3~4日目に訪問した「岩田草庵」では、地域の方に施設を知ってもらうために企画されたイベントの準備作業を体験させてもらいました。
 これまで祖父の葬儀に参列したことはありましたが、お式を執り行う側、スタッフの方の目線で見学するのはとても貴重な経験でした。
 また、セレモニーの進行はもちろん緊張感がありますが、一歩裏へ入れば和気あいあいとした雰囲気もあり、その同僚間のコミュニケーションがお式のスムーズな進行にもつながっているのだということが分かりました。

サンタガリシア大聖堂 内部
(写真提供:㈱アスピカ 岐阜本部/以下同)
水の都 結 内部
水の都 結 内部
岩田草庵 パース図
ブランピュール大垣店

経営理念や社長さんの考え方は事前に頭に入れておく

実習前に準備したことはありますか。

 事前にwebサイトを拝見して、社長さんの言葉や経営理念、その企業のたどってきた歴史=沿革を確認しました。
 ミッションとして掲げられている「どこよりも感謝の心を大切にする企業へ」という言葉などを頭に置いてお話を聞くことで、お式の進行や作法にもその心が込められているんだなと感じました。
 今回、各式場の見学のために車で移動する時間も多く、その際には社員の方からいろいろなお話を聞くことができました。その時に会社が大事にしている想いやキーワードを把握していると、より理解しやすいように感じました。

「おもてなし」にはこんなことも含まれる?!

実習中に驚いたことはありましたか。

 毎日いろいろな方に指導していただいたのですが、ご葬儀用のホールを任されている館長さんに20代の方が多かったことです。また、ホール内にはお式を行う部屋だけでなく、お通夜やご葬儀までの時間をご家族が過ごされるお部屋もあり、アメニティも充実していてホテルのように綺麗だということにもびっくりしました。
 それぞれのホールの内装や家具は、館長さんやスタッフの方が「お客様がお式までの時間にできるだけ身体を休められるように」という思いで相談しながら決めているそうで、説明してもらう際にもホールへの愛着や誇りが伝わってきました。

マナーについてはいかがでしたか?

 マナーについて一番驚いたのは、スタッフの皆さんが全く足音を立てないことです。靴にも工夫があるということでしたが、それまで私は意識したことがなかったので、とても難しく感じました。あらためて、「おもてなし」にはいろいろな要素が含まれているのだと実感しました。
 言葉遣いについては、「今話している言葉は丁寧語なのか謙譲語なのかをきちんと意識すること」などを教えてもらいました。聞き慣れない専門用語も多く、その点は難しく感じました。

実習中に心がけたことはありますか。

 スタッフの皆さんがお客様や故人様のことを想いながら業務にあたっていることを知り、私も見学や片付けの際にはお客様のことを考えながら作業をするように心がけました。マナーの一環として、ホール内でお客様にお会いした際の挨拶も教えてもらっていたので、実際お会いした際には実践することができました。
 また、トイレなどはお客様と共有になっている場合もあり、お客様に気持ち良く使っていただけるように、自分が使った際には水滴をふき取るといったことも徹底して取り組みました。

目標は達成できましたか。

 「場面に応じた礼儀作法を身につけること」、「お客様が何を求めているのかを理解し、満足していただくためにどのように行動するのかを学ぶ」ということについて、達成できたと感じています。実習を通して自分の今後に向けて見つけた課題は「観察力」、「行動力」、「応用力」の3つです。

 ご葬儀は人生の中でも大きな行事ですが、前もって準備ができることでもありません。短時間で決める事柄も多くある中、お客様が要望を必ずしも言葉にされないケースもあり、そのために相手の行動をよく「観察」して、こちらから提案という「行動」を起こすことが大切だと教えてもらいました。また、お客様の希望にお応えできるように、臨機応変さ、「応用力」が必要になることも学びました。

 この「観察・行動・応用」の学びを活かして、実習が終わってからは、飲食店のアルバイトの際に、膝掛けがあることや個室それぞれで室温を調節できることなどを、こちらからお客様にお声がけするようになりました。今はシフトリーダーも任されているので、会議の際にはサービスに関する提案も積極的にしています。

就職活動が本格的にスタートした時期だと思いますが、実習を振り返ってみていかがですか。

 夏休みに5日間の実習を体験したことで、企業を見る際の判断基準になっていると感じています。企業の説明会では年間休日が多く残業が少ないことなどの福利厚生についてもよく聞きますが、それ以外にも、仕事の内容や社風についてなど、見る目を養うことができたと感じています。
 また、もともと接客業に興味はありましたが、それを自分の職業として選択するべきなのか、じっくりと考える良い機会にもなりました。一つの企業を深く知ったことで、他の企業への興味もわいてきました。
 今は公務員試験に向けた勉強と一般企業への就職活動の両立に挑戦しています。合同説明会などでいろいろな企業からお話を聞き、特に気になった企業の個別説明会へ進んだりしているのですが、企業の方の仕事にかける想いを知ることができたので、今は一つひとつ丁寧に進めていき、最終的には自分で納得して進路を選択できれば良いなと考えています。

これからインターンシップに参加する学生さんへのメッセージをお願いします。

 社員の方から直接話を聞くことで、webサイトだけでは分からない現場の雰囲気を肌で感じることができ、就活の幅もぐっと広がったなと感じています。また、5日間だからこそ学べたことや、体験できたことも多いと思います。授業や部活などいろいろありますが、できる状況なら、挑戦してみることをおすすめしたいです。

本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!