成果報告

元気なだけが「営業」じゃない!――カーディーラーで先輩社員から学んだ営業の極意とは

  • 学生の体験談
掲載日:2023/03/24
2022年度掲載

「営業職に興味がある」、「営業職は自分に向いていないのでは…?」
きっかけは正反対ながら、カーディーラー実店舗での接客対応を経験し、最終日には模擬商談にも挑戦した2人の学生さんにお話を聞きました。

事業内容:自動車の販売・整備
本社所在地:岐阜市六条大溝4-1-3
☞2023年1月、トヨタカローラ岐阜株式会社とネッツトヨタ岐阜株式会社が合併して誕生しました。

実習に参加した学生さん

中部学院大学 スポーツ健康科学部 スポーツ健康科学科 3年
K.H.さん/G.N.さん

当初は真逆だった二人の「営業職」への認識

まずは、インターンシップに参加したきっかけを教えてください。

K.H.さん まず、学校で「インターンシップ事前・事後指導」という授業を履修したことが一番のきっかけです。
 実は、実習前はコミュニケーション力に自信がなく、営業という職種は自分に向いていないんじゃないかと考えていました。ただ、本当に向いていないのか、それとも営業という仕事に、まだ自分が知らない一面が隠されているのかもしれないとも考えて、確かめてみたいという気持ちで参加しました。

G.N.さん 私はまず、自動車が好きということと、営業職に興味があり、その組み合わせで考えました。普段は飲食店で接客のアルバイトをしていますが、今以上に社会経験を積み、少しでも社会に慣れて、実際に社会人になる際には、他の人よりも一歩前へ出られるようになりたいと考えていました。授業で紹介のあった岐阜県インターンシップ推進協議会のページで調べ、トヨタカローラ岐阜株式会社(当時)の受入内容欄を読んで、挑戦してみたいと感じました。

それぞれ、営業職について知りたいという思いで計画されたのですね。
「営業職」というものに苦手意識がある学生さんは多いかもしれませんね。

K.H.さん スポーツ健康科学部ではスポーツ系の企業・団体のインターンシップに行く「インターンシップ(スポーツ施設)事前・事後指導」と、一般企業等のインターンシップに行くこの授業とのどちらか、または両方を選ぶことができます。
 15コマある授業では、実習先を選ぶにあたって参考になるように自己分析の時間があったり、授業を担当する藪下教授が先輩たちの実習先へ訪問指導したりする中から蓄積している情報をもとに、岐阜県内のいろいろな企業について紹介してくださる時間もありました。まずは企業名を知る機会としてありがたかったなと思います。

実習前に準備したことを教えてください。

K.H.さん 事前に企業の経営理念などを調べました。実習初日、人事の担当者さんから抜き打ちで質問されたのですが、スムーズに受け答えすることができました。
 それから、服装について細かい部分が分からず不安だったため、前もって確認しておきました。夏場の実習でもスーツやネクタイが必要なのかと思っていましたが、事前に質問したところ、企業として“働きやすいスタイルにしていこう”という理由から、スーツやネクタイはなしのクールビズで良いということでした。暑い中ネクタイを締めなければいけないのかなと心配していたので、安心して当日を迎えることができました。

G.N.さん 私も実習先の特徴や仕事の内容を事前に調べて当日に臨みました。
 また、自分で気になったことをすぐにメモできるように、メモ帳を準備しました。

実習の内容について詳しく教えてください。
実習日程:令和4年8月2日(火)~9日(火) 5日間
実習人数:3人
1日目本部
9:00~17:00
オリエンテーション
社会人としての基本を知る、ビジネスマナー研修
2日目店舗(居住地から近い店舗)
8:30~17:00
洗車、店内清掃、お客様ご来店時の対応(消毒と呈茶のご案内)、残価設定・保険・査定の学習、カタログ学習、店長面談
3日目
4日目
5日目本部
9:00~17:00
ビジネスマナー研修、実習の振り返り、
ロールプレイング(模擬商談)、まとめ

K.H.さん 実習初日のマナー研修では、言葉遣いをはじめ「上座と下座」といったことなど、社会に出てから役立つマナーを教えてもらいました。
 店舗実習では、自宅から近い店舗に1人ずつ通いました。私がお世話になった店舗では、最初に車に興味を持てるようにカタログを読み込むところから始めました。それから、ご来店されたお客様への初動対応として、手指の消毒のお願い、セルフサービスのお飲み物についてのご案内、その後席までご案内するという対応をさせていただきました。お客様がいらっしゃらない間は、査定見学や車の部品の勉強などもしました。普段から車の運転はしますが、パーツの名前までは知らなかったので、なかなか難しかったです。

G.N.さん 私がお世話になった店舗でも、朝は洗車から始まり、朝礼をして、その後お客様がいらっしゃればご案内をしたり、いらっしゃらない時間帯はカタログで勉強をしたり、査定見学をさせてもらったりしました。社員さんとコミュニケーションを取る時間も設けていただけて、社会人としての苦労やご家庭のことなど、たくさんお話を聞くことができました。

本部の外観(写真提供:トヨタカローラネッツ岐阜株式会社)
店舗の様子(同)

営業=声が大きくて元気いっぱい、というわけではない

調べたことと、実際に行ってみて感じたことでギャップはありましたか?

K.H.さん 私は結構ギャップがあると感じました。実習に参加する前の営業職のイメージは「明るく元気」というものでしたが、実際社員さんから「すべてのお客様が“元気もりもり”を喜ばれるというわけではなく、落ち着いた対応を好まれる方もあるんだよ」と教えていただきました。実際の商談の様子も目にする中で、営業職への印象は大きく変わりました。

G.N.さん 私の場合は、営業職になる人はもともと「営業職をやりたい」、「営業職が向いている」と思って入社しているのではないかと思っていたのですが、社員さんの中には『本当は営業職を希望してはいなかったけれど、同僚を相手に練習したりして上達したんです』という方もいらっしゃいました。努力すればそれが自分の中に蓄積されて、力になっていくんだと分かりました。
 仕事の内容について勉強を重ねる必要があるのだろうなという点は予想通りでした。

K.H.さんのメモより
やはり“その道のプロ”になるには努力が必要ということですね。
特に印象に残っていることはありますか?

G.N.さん 最終日に組み込まれていたロールプレイング、模擬商談ですね。店舗実習の3日間でも商談の風景は見学することがありましたが、自分で話すというのはものすごく難しかったです。
 車を売り込むというよりは、安全性能やサービス機能面などについて相手にプレゼンするという課題でしたが、まずは“ぶっつけ本番”でやってみて、その後、改めて30分ほど勉強し直してから二度目に挑むという構成でした。店舗実習の間にカタログを読んだりしていましたが、いきなり説明しようとしても言葉がなかなか出ませんでした。

K.H.さん 私もやはり一番は最終日の模擬商談です。一緒に実習に参加した3人で、カタログの1ページずつを担当して紹介しました。間の30分間でもう一度情報を確認してから臨み、二度目を終えてからは何とか褒めてもらえました。
 店舗では新卒1年目の社員さんが商談練習をされる際にお客様役をやったりもしました。その際にはパワーポイントの作り方、データの見せ方によっても分かりやすさが大きく変わるのだということがよく分かりました。

 それから、商談だけでなく納車の際にも同席させていただきました。営業側からしたら、商談が成立した時が喜びのピークですが、お客様にとっては納車の瞬間に喜びのピークがやってくるため、営業としてもそこにピークを合わせるように意識していると聞きました。
 企業として大切にしている社訓が「お客様第一主義」で、それはつまり自分の喜びが先にあるのではなく、お客様の喜びに寄り添うことなんだと身をもって感じることができました。また、営業の方が1人で担当されるお客様の数が100人くらいということにも驚きました。

実習中に気を付けたことはありますか。

G.N.さん これはアルバイトの時も同じですが、接客の際にはお客様の目を見てお話しすることを心がけています。それから、声の大きさやトーンにも気を付けましたし、何より、常に笑顔でいることを心がけました。
 アルバイトの時は社員の方から丁寧に教えてもらえる立場で、時にはお客様から教えてもらう場面もあります。実習に参加したことで、それはとてもありがたいことなんだなと実感しました。また、インターンシップの最初は「失敗してはいけない!」ととても緊張しましたが、実際は社員の皆さんに優しく対応していただけて、安心していろいろな内容に取り組むことができました。

K.H.さん 店舗実習でお客様の対応をさせていただいた時に、来客されるお客様それぞれに、当たり前ですが特徴がおありで、私が対応した間だけでも、赤ちゃんをつれた方、重い荷物を持たれた高齢者の方などがいらっしゃいました。お客様の飲み物は基本的にはセルフサービスですが、お客様の状況をよく見て配慮しなければいけないなと自分で考え、行動するようにしていました。

実習を経験して、自分から動ける人材に

それぞれに、自分で考えて動く大切さを感じられたのですね。
実習が終わってから、自分の中で変わったなと感じていることはありますか。

K.H.さん スーパーの品出しのアルバイトをしているのですが、実習に参加する前は自分の作業にただ集中するだけ、という感じで働いていました。インターンシップに参加したことで、以前よりも初対面の方に話しかけることに抵抗がなくなり、お店の中で探し物をされているお客様に「何かお探しですか」などと自分から声をかけられるようになりました。
 就職活動が始まりましたが、「営業職」の文字にも抵抗なく挑戦できそうだと自分でも感じていて、視野も選択肢も広がりました。

G.N.さん 私も以前より視野が広がり、目配り、気配りができるようになりました。特に飲食店のアルバイトでは、お客様のお水がなくなれば言われる前にお持ちしたり、お皿が空けばお下げしたりと、今は自分で考えて実践するようにしています。
 就職活動については、実際の社会を経験したことで、営業職や販売職などいろいろな仕事に幅広く挑戦できるのだと分かりました。エントリーやその後の選考ステップを丁寧に進めていきたいと思っています。

ちなみに、スポーツ健康科学部の所属ということですが、普段はどのようなことを学んでいらっしゃるのでしょう。

K.H.さん 学部全体では、体育の先生や公務員になる方が多いですね。
 私はスポーツバイオメカニクスの分野で、スポーツをする際の身体や筋肉の動きを画像で解析し、動作がより良くなるようにアドバイスをするといった勉強をしています。

G.N.さん 授業ではコーチングや心理学なども学んでいます。私は将来、副業として今まで取り組んできたスポーツの指導者になりたいと考えているので、学んだ内容が今後も役に立ちそうだなと考えています。

これからインターンシップに挑戦される後輩の方に伝えたいことはありますか。

K.H.さん 私自身、「営業職は向いていないのでは」というところからスタートしたので、興味がある分野だけでなく、いろいろな方向に目を向けて、勇気をもって踏み込んでみると、多くのことを学べるんだと実感しています。就職活動も広い視野で臨む必要性を感じています。
 「5日間」のインターンシップというと長く感じるかもしれませんが、一番良いところは社員の方との距離が縮められることだと思います。私は、今後の宝になるような素敵な言葉をたくさん教えてもらうことができました。

G.N.さん できるだけ多くの企業さんの情報に触れた方が良いなと感じています。1社参加しただけではなかなか他社のことが分からないので、短い期間の実習にも参加してみれば良かったなと思っています。
 私も最初は5日間って長いな、大丈夫かなと思っていましたが、たくさんの社員の方と交流できたことは本当に良かったです。同じ期間に実習をしていた高校生の子とも交流ができて、とても良い経験になりました。

K.H.さんのメモより
本日は貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました
古田さん

受入事業所からのコメント/トヨタカローラネッツ岐阜株式会社 総務部 古田さんより
 5日間のインターンシップお疲れ様でした。
 自動車の営業という仕事は、お客さまとの長いお付き合いを前提に展開されるものですので、「商品を売る」のが仕事というわけではなく、「担当者として選んで」いただくものだと考えます。
 その為には、接客時の第一印象から、親しみやすさ、知識の豊富さ、プレゼン能力の高さ等、様々な能力が必要とされますので、今回のインターンシップでは、実際に接客をしていただいたり、営業スタッフが普段から何を考え、どう行動しているかをヒアリングしていただく内容といたしました。
 最終日の模擬商談では、お客様の立場に立ち、魅力的な提案をすることが出来たと感じております。
 今後も様々な事にチャレンジし、多くの人に喜びを提供できる人財に成長していってくださいね。