Instagramでたまたま見つけたのは、恵那市が企画した市内企業でのインターンシップ。
「性格が正反対な人とも一緒に働かないといけない」
――そんな社会人の大変さを体感しながらも、自分の成長につなげられた体験について聞きました。
事業内容:自社農園での栗の栽培・研究から、素材調達・加工、菓子の開発・製造、販売まで自社で一貫して行い各工程で独自の価値を創造しています。
本社所在地:〒509-7201 恵那市大井町2632-105
実習に参加した学生さん

応用生物学部 食品栄養科学科 食品栄養科学専攻 3年
2つの「お菓子屋さん」を体感できた夏休み
もともと、大学がカリキュラムとして実施している枠内でインターンシップに参加しようとセミナーを受講していて、そちらで1社、老舗菓子店の実習に参加しました。専攻は「食品栄養科学」で、管理栄養士になる分野ではなく、白衣を着て、実験室で特定の食品の効果を確かめるために分析や試験を行うような分野です。実はカロリー計算はしたことがないんです。
恵那市のインターンシップ企画は、Instagramでたまたま見つけました。市内企業4社の中で希望を出し、調整により決まった1社で実習を行うという企画で、そこに恵那川上屋さんが含まれていたので、応募しました。
はい。5日間が2回ということで、8月は体力的には結構大変でした。ですが、周りには5日間の実習に4本、さらに1dayにも何本か参加したという友達もいましたね。
3年生の10月末頃までには、就活に向けて希望の職種や業界を絞り込んでいたいという自分なりの目標があって、「今のうちに見ておかないと」と感じていました。
実習日程:令和6年8月19日(月)~23日(金)/各日9:00~17:00(初日のみ10:00~)
日 程 | 実習場所 | 内 容 |
1日目 | 恵那市役所会議室 恵那峡ビジターセンター | オリエンテーション(研修の心得等) 各企業からの説明/アイスブレイク(理念経営実践ゲーム) |
2日目 | 各企業本社ほか | 本社工場、栗生産拠点、ひなげし美術館見学/SAKAE店 試食配付体験 |
3日目 | トマト生産拠点 作業体験/食品工場、サブレファクトリー見学、作業体験 | |
4日目 | 課題解決プレゼンにむけた準備 | |
5日目 | 本社ほか/市役所会議室 | 課題解決プレゼン/実習の振り返り、座談会等 |
私はバスとJRで通いました。自分が住んでいるエリアからすると恵那は遠いイメージだったのですが、実際に通ってみたことで「意外と近いんだ」という発見もありました。恵那駅までは毎日、市の担当の方が迎えに来てくださったので、とても助かりました。 市役所の方や、恵那くらしビジネスサポートセンターの方が皆さん優しくしてくださったのも嬉しかったです。
一緒に実習に参加した8人の中には、家が恵那市内という人もあれば、岐阜市や愛知県の南のほうから通っている人もいて。車で通っているという人もいました。特に遠かった2人は、体力の半分を通勤に費やしていたかもしれないですね。

写真提供/恵那市雇用対策協議会・株式会社恵那川上屋(以下同)
そうですね。最後の振り返りでは、企画の直してほしいところなども聞かれたので、その2人は「来年は合宿も選べるようにしてあげてください!」と市の担当の方に訴えていましたね。
実は、1社目の企業では実習させていただいた5日間、毎日8時間ずっと「作業体験」のみでした。最初に店舗の見学、途中で練り切りを作る体験はあったのですが、それ以外は商品の袋詰めやスプーンの封入、シール貼りがほとんどでした。それもとても忙しい雰囲気で、周りの社員さんやパートの方にお話を聞く余裕もないような状況でした。もう少し、「何年くらい働いているんですか?」「やり甲斐は何ですか?」といった話ができたら…と感じていました。
恵那市でも同じような体験なのかな?と少し思いながら参加したのですが、毎日いろいろな体験があって、全然違う!ということにまず驚きました。
インターンシップは「正社員としての働き方」を学ぶための機会です。 受入先の企業・団体の方には、“正社員として働くとはどういうことか”を学生さんに伝えられるようなプログラムの策定をGICではお願いしています。そのため、実習では作業体験だけに終始するのではなく、その作業の意味や気を付けるべき点、部署間の仕事のつながり等も伝えていただきたいと考えています。
1社目では、作業量の多さに首を痛めたくらいです。
恵那市での実習では、まず1日目は全体の研修から始まりました。が、各社に分かれてからの2日目からがハードでした。朝は本社で集合したのですが、本社工場の見学から始まり、中津川のほうの栗畑や本社隣の「横井照子ひなげし美術館」の見学、さらに午後には名古屋市栄の店舗まで移動し、スタッフとして接客体験をさせていただきました。
事前に公開されていたプログラムはすごく簡単なものだったので、「今日は栄まで行きます!」と言われて、「え、ここ恵那ですけど?!」とびっくりしました。 付き添ってくださった総務の方は小柄な女性だったのですが、大きな車を運転して私たちを連れて行って下さるパワフルさに感動してしまいました。

素敵な社会人の方に出会えましたね!
はい。次の日も付き添っていただいたのですが、とても頼もしく感じましたね。
3日目はトマトを栽培しているハウス内での体験をしました。暑いので休憩もこまめにとりながらですが、さすがに体力的に大変で、手作業の多い農業の大変さを感じることができました。午後は可児市の新しい店舗を見学して、工場でお話も聞きましたし、箱詰め作業もさせていただきました。
4日目は、3日目までの内容をもとに、課題解決のためのプレゼンについて、ペアになって考えるという流れでした。

「この人、私にとってはニュータイプだ…」
実習の前には、事前学習として「MBTI診断」をしてきてくださいという課題が出ていました。一時流行っていた、web上で無料でできる性格検査です。なんでだろう?と思っていたところ、「その結果をもとに性格が違う人同士でペアを組んでもらったんです」という種明かしが最終日にありました。診断でいくと、私がエンターテイナーみたいな人で、ペアの相手の人は政治家みたいな厳格な感じの人で、ほとんど真逆と言っていい組合せだったんです。
実を言うと、人間観察が好きなこともあって、初日のゲームなどを通じて、「この人とはタイプが近いし合いそうだな」、「この人はきっとこういう性格だな」といった感じで周りの学生を見ていました。ペアになった人はその中でも、自分の周りにいないニュータイプというのか、どっちかと言えば苦手なタイプだな…と感じていた人だったんです。
その人は将来へのビジョンをしっかりと持っていて、その達成のために参加したそうです。想いが強いからか、話し合う時に言葉がキツく感じることもあったので、最初のうちはあまり積極的な発言ができませんでした。そこが自分でも消化しきれず、実習全体を指導されていた講師の方に相談のメールをしてみたりもしました。

もともと自分からはあまり発言できるタイプではなかったのですが、企画することや考えることが好きで、自分のアイディアをどうしても発表したいという想いもあって。少しずつですが発言するようにしたら、相手にとっても自分はニュータイプだったみたいで、「なんでそこからそういう発想ができるの?」とびっくりしながらも、最初より打ち解けることができました。最終的には、相手のアイディアと私のアイディアを強引にまとめて一つにして、発表しました。
最終日に種明かしを聞いてみると、仕事では初対面の人や、性格が正反対の人とでも一緒に仕事を進めていかなくてはいけないし、相手を見ながら対応を考えるのも必要になるため、あえてそうした、ということでした。その座学の時間には、仕事を進める上でのコツなども教えていただけて、身に沁みました。
4日目の企画の際には、恵那川上屋さんについてSWOT分析で弱みや強みを書き出して、その弱みを解決できる策を考えるという時間もありました。そういった手法もとても勉強になって、これから就職活動で自己分析に使えるな、と思っています。

「そんな発想はなかった!」と思ってもらいたい
インターンシップでは、学生側は自己分析や業界・企業研究をさせていただいてスキルアップをはかるわけですが、何も知らない学生が企業の課題を考える機会ってなかなかないと思います。何も知らないからこそ、社員の方に「そんな発想はなかったわ、さすが現役大学生だね!」と言ってもらえるようなアイディアを発表したいと思っていました。
それにインターンシップでは、自我を出さないといけないと思っていました。企業の方にとっては企画した事業の実現性とか現実味が大事だとは思うのですが、5日間しかいられない分、ちょっと突飛かな?と思うようなことも思い切って発表したいなと思っていて。人間関係ではしんどい状況だったのですが、それもあって、だんだん「言いたいことを言わないとダメだ!」と気持ちが変わっていきました。
今後企業に所属するとしたら、企画は担当の部署ごとで考えることになると思うのですが、何を伝えるにしても、伝える力がないといけないんだ、ということを今回強く感じました。実習中には、自分の発想力というのか、アイディア出しが好きなことすらも自信をなくす方向になりかけました。でもそこで思いを伝えるにはどうしたら良いかと考え、相手に数字を示して「こういう計画でいけばこれくらい数字が伸びるから」などと説得することで何とか乗り切ることができました。そういう、相手を見ながら伝える方法を考えたり、使い分けたりする力がついたと思います。
おそらく、見ている方にとっては面白いくらいだったと思います。「君たちは特に顕著だったね」と言われましたから。
最終的にまとめるのは難しかったですね…。今までは相手によって説得方法を変えるとか、そこまでは考えたことがなくて。
そうですね。今思うのは、最初の実習1社だけじゃなくて良かったなということですね。2社、同業種でしたが正反対だったので。1社目だけだったら、社会に出ることに不安しかなかったかもしれません。
夏休み中に他のオンライン実習なども体験して、「グループディスカッションをする機会って結構多いんだな」と感じています。今までは苦手意識があったのですが、今回の体験で少しコツがつかめた気がするので、人とコミュニケーションを取る上で活かしていきたいです。それから、自己分析ももっと必要だなと思ったので、教えていただいたSWOT分析も使いながら、自分の弱いところをいかに直すかということを考えていきたいです。
まだまだです。食品に関わりたい、商品開発をしたいという想いはあるのですが、やみくもにいろいろ見ても、迷うばかりになってしまいそうだなと感じています。まだ自分の中で企業を選ぶ基準というのか、条件が漠然としていて。なので、今のうちに譲れない条件を考えたり、判断基準を絞ったりしたいと思っています。例えば何が嫌なのかといったことも、きちんと考えたいです。
そうですね。恵那市がそんなに遠くない、ということも含めて、働くならどの方面に出ると良いかなども、自分なりに考えることができました。
事前講習をしっかり活用して自分の力に!
私の通っている中部大学では、夏のインターンシップに行く前の5~6月の頃に、7回セットの事前講習があるんです。学部も関係なく200人くらいが受講するのですが、土曜日の午前・午後か、さらに10人の講師のクラスにそれぞれ振り分けられて、そこで全員がグループワークでも発言できるように、いろいろな点について叩き込まれるんです。
スーツで参加しないといけないし、午前の組なら9時には学校にいないといけなくて、結構大変なので途中で辞めてしまう学生もいたりします。でも、中部大学に所属しているのなら、絶対行くべきだと思います。
身だしなみやビジネスマナー、電話応対、礼状の書き方など、“できたら良いこと”というのか、印象が良くなるようなことばかりで。寝るスキは本当になかったですね。7回ともかなりメモを取りました。この講習だけでも1単位取得することができます。さらに、今回の2回・計10日間のインターンシップで2単位になります。
講師の方にもよりますが、この講習で厳しいことも言ってもらえると、どこへ行っても怖くないと思えると思います。私も実は、その講習の中では発言が全然できなかったんですが、今はグループワークのまとめ役くらいはできるようになりました。 大学によって授業やセミナーは全然違うと思うのですが、インターンシップに実際に行くかどうかはともかくとして、講習は受けておくのがオススメですね。
そして学生さんは授業料を支払って学校に通っているわけで、その特権をしっかり使うべきですね。就活にもすごく役立ちそうです。
貴重なお話をありがとうございました!!

恵那市雇用対策協議会からのコメント
事前にプログラム内容をしっかり作り込んでいるため、充実した体験ができます。
恵那市には魅力的な企業や仕事がまだまだたくさんあります。
今後もインターンシップを企画しておりますので、 ぜひ情報をチェックしてみてくださいね!
くわしくはこちらもご覧ください↓
ジョブナビ恵那 https://jobnavi-ena.jp/
今回のインターンシップの実施レポートも掲載されています!