協議会のイベントをきっかけにして生まれた、日本福祉大学×恵那市のプロジェクト。
事前事後学習2日、現地での合宿型の実習3日間の計5日間のプログラムで、最終日の発表を協議会スタッフが取材しました。
(上の写真は「かんぽの宿 恵那」からの眺め)
概要:岐阜県南東部に位置し、愛知県と長野県に隣接した、山紫水明の豊かな自然に恵まれた地域。
人口は47,774人(令和2年国勢調査人口)、面積は504.24平方キロメートル。(市HPより)
☞公式観光サイト「え~な恵那」
日本福祉大学 3キャンパスの各学部から集まった2年生3人、3年8人、4年生1人
(3キャンパス…美浜キャンパス/愛知県知多郡美浜町、半田キャンパス/同半田市、東海キャンパス/同東海市)
合宿型のプログラム、最終日にはグループごとの発表会
現地での合宿3日目の8月31日午前、恵那峡を臨む宿泊施設「かんぽの宿 恵那」の会議室には、学生さん12名が集まっていました。午後からは、3グループに分かれての発表会。それぞれ緊張の面持ちで、発表内容の最終確認をしたり、パワーポイントで作成したデータをプロジェクタで映し出し、文字の大きさを確認したりしていました。
この現地実習より1ヵ月以上前に、講師の星野先生からは「課題解決型インターンシップ!地域資源を活用した恵那峡のにぎわいづくり~ワークブック~」という小冊子が配られ、各自で調べ学習を行ってからの現地入り。8月29日からの3日間、恵那峡にほど近い「割烹民宿おゝくら」で合宿をしながら、恵那峡ビジターセンターと地元の企業3社を訪問、そこからグループごとに提案内容をまとめるという、なかなかのハードスケジュールです。
プログラムの始まりはGICの「推進会議」
恵那市と日本福祉大学の企画が始動したのは令和4年(2022年)2月のこと。岐阜県インターンシップ推進協議会の「推進会議」の中で「学生が参加できる取り組みづくりを模索している」と発言された恵那市と恵那くらしビジネスサポートセンターに、日本福祉大学でキャリア系授業を受け持つ講師の星野 宏先生が連絡を取ったことからでした。
恵那くらしビジネスサポートセンターは、恵那駅前で就労や移住等について幅広くサポートしている市の出先機関で、市の魅力発信や活性化策の一つとして、前年度からインターンシップの検討が始まっていました。星野先生からの連絡を受けて、早速企画が始まりました。
愛知県の中でも南寄りにある日本福祉大学からは離れたエリアでの実習のため、グループワークの会場はもちろん、学生の宿泊先や食事、移動手段も確保する必要があります。もちろん、見学させてもらう企業への依頼も必要です。普段から企業訪問などで関係づくりを行っているセンターの就職支援コンシェルジュ・新井さん、雇用対策コンシェルジュ・西尾さんを中心として、計画が着々と進められました。
テーマ「地域資源を活用した恵那峡のにぎわいづくり」 【実習日程】事前・事後学習2日、現地での活動(合宿)3日 計5日間 | |
---|---|
1日目 | 13:00恵那駅集合→恵那峡ビジターセンター(恵那峡について知る)→㈱恵那川上屋(見学)→㈱デジタ(見学) |
2日目 | ㈱銀の森コーポレーション(見学)→恵那峡ビジターセンター(情報収集、中間発表) |
3日目 | かんぽの宿恵那(発表準備→発表・講評)→17:30恵那駅解散 |
市職員の前でグループごとの提案内容を発表
現地での初日・2日目、恵那市における観光の状況や地元企業の魅力について学んだ皆さんは、現地で知った情報も盛り込みながら提案内容を考えました。そして、3日目の午後。恵那市役所から商工観光部の藤田部長をはじめとする4名が、日本福祉大学からは副学長の齋藤先生が到着され、発表会が始まりました。
3グループから発表があったタイトルは、それぞれ「恵那峡×サウナ」、「レトロモダン恵那峡」、「ワーケーションを利用した観光戦略~恵那峡の活性化に向けた提案~」の3つ。それぞれ恵那市をめぐり、また調べる中で知った魅力をもとに、地元食材を使ったお食事やお酒、恵那峡や遊覧船を活かしたプログラム、高速のSAでのPRや旅行会社とのタイアップ企画など、それぞれの観点から恵那市のにぎわい創出について提案を行いました。
講評者からは熱の入ったアドバイスが
それぞれの発表ごとに質疑応答があり、3グループが終わってから、順に講評となりました。市の観光面でのシビアな課題や、「健幸都市宣言」のこともきちんと調べられていること、学生目線による新鮮な提案への評価があり、また実際に市の提案にしていく場合はどれくらいの予算がかかるのか試算していく必要があることや、安全面での検証が必要になることなど具体的な“仕事”として取り組む場合の指摘もありました。
副学長の齋藤先生からは、利用者側に立って考えることの大切さ、そして「そもそも、この3日間で恵那市のことをSNSでアップした?」との問いかけもありました。
参加した学生さんからの感想は
- まちづくり・都市開発に興味があり参加しました。他学部、他学年との交流もなかなかなく、多くの方と交流する中で自分自身の考えの幅・視野を拡げ、自己理解と自己成長につなげるために参加しました。
- やりたいこともなく、これからどうしていいか分からなかったので、何かヒントを得られたり、いい経験になるのではと考えて参加しました。
- パンフレットで見た景色よりも、実際に見た景色は迫力がありました。
- 岐阜県出身者ながらこれまでは訪れたことがありませんでしたが、魅力がたくさんあって若い人も楽しめるところが多いと感じました。古くて良い部分がある一方で、企業の取り組みを見学して、将来性があることも強く感じました。
- 参加したから先輩たちと出会えました。たくさんの出会いに感謝したいです。自分の力不足なところや、他学生と差別化をしなければいけないことなど、今後への課題も見つかりました。
- みんなの意識が高くて負けたくないと思ったし、もっと視野を広げて成長したいと感じました。
- 短期間で発表を作り上げることは難しさを感じましたが、有意義な時間でした。
- 企業3社を見学させていただきましたが、どの企業でも恵那市や従業員の方への想いが伝わってきて、自分でも働いてみたいと思いました。
講師の星野先生より
現地での活動の終了後は、ワークシートで各自振り返ってもらいました。実習のまとめとしては、やはり発表したり言葉で書き残すなど、きちんとアウトプットすることが大切だと感じています。その際に、どういう形で振り返るべきか、例えば「これまで授業等で学んできた中に似たものはあったか?」など、考え方の例示をしてあげることも学びを深めるために必要です。
学生たちは、長引くコロナ禍で学生同士の交流もままならない時期を過ごしてきました。そういう中で、もっと活動したい、他学生と交流したいという想いも感じており、今回の募集をしたところ、学生の自己負担額もありながら、当初16名が参加を希望してくれました。
事前学習のために冊子を渡したのが7月、そこから各自でいろいろな情報を調べ、書き込みをして臨んだ現地での活動。実習中に、それぞれが交流する中で自発的に変化してくれたことがとても嬉しいです。
課題を挙げるとすれば、今回は現地活動が3日間というタイトなスケジュールで、夜遅くまで企画を練るチームもあるなど大変な部分もありました。状況が許せば、発表までにもう少し日にちをあけたりすると、学生が自分たちで考える時間も増え、発表の内容もより一層深められたかもしれないと感じています。
エーナちゃん
受入事業所からのコメント/恵那市より
学生の皆さんには恵那峡の活性化について固定概念に捉われる事のない斬新なプランを提案していただき、大変有意義なものとなったと考えています。短い期間の中で分析もしっかり行い資料としてしっかりまとめられていたことに大変驚きました。いただいた提案については事業化に向けて検討を進めたいと考えています。
またタイトなスケジュールとなりましたが、行程に企業見学を入れた事で、ほんの一部ではありますが学生に魅力のある恵那市の企業を知っていただけたのではないかと思います。合わせて学生の皆さんに恵那峡及び恵那市について考えていただいたことにより、恵那市という町を身近に感じてもらい、交流人口の増加に繋がっていくことを期待しています。
当市産業には様々な課題が存在しています。今後、今回のインターンシップ開催を契機にさらに踏み込んだ市内事業所のコアな課題の解決のためのインターンシップを行っていきたいと考えています。
☞恵那市では「令和5年度の夏休みに向けて新たなインターンシップを計画中」とのことです。
詳細は、決まり次第岐阜県インターンシップ推進協議会のwebサイト「受入事業所を探す」にも掲載予定です。